【怒ることは本当に必要か。】温厚で有名な僕が、唯一怒った生徒の話

学習塾のための教育コーチング、
Edcoad代表のおきつです。


先日、ある塾の先生方とお食事をしているときに


「おきつさんって怒ることあります?」



と聞かれ、その場では
「んーないですかね。」


と答えたのですが、その帰り道に
僕が過去に怒った生徒のことを思い出したので
ブログに残していきたいと思います。

生徒の名前はリュウ

僕が怒った生徒は当時中学3年生のリュウ(仮名)


サッカー部で、いわゆる陽キャメンバーに入っているような生徒です。


いつも黒く焼けていて、
サッカーをして汗だくで塾に来ることがいつもの光景でした。


また彼は、やんちゃなタイプではないのに
やんちゃなタイプの友達とつるむことが多く、
塾を無断で休んだり、塾以外でも両親に
迷惑をかけることが多いような生徒でした。


そのせいもあってか、
学校の成績はお世辞にもいいとは言えず、
内申点1を取らないようにどうするか。
というレベルの生徒でした。


なんとか中3の最後には、
平均点くらいはとれるくらいに成長してくれました。

嘘だけはつくな

ある日、リュウが僕に嘘をついて塾を休んだことがありました。


「親と出かけなきゃいけなくなった」


授業当日に、そう電話をしてきてその日の授業を欠席しました。


数日後、ひょんな会話から塾を休んだ日の行動が露になり、
リュウが嘘をついていたことが判明しました。


リュウは黙っていましたが、僕はリュウに
「自分だけが得する嘘はつくなよ。」


そう伝えて、その話を終えました。


リュウは深く反省したのか、
その後は嘘をつくことも塾を休むこともなくなりました。

高校受験2週間前、リュウは泣いた

受験勉強が本格化し、
勉強に対してあれほど嫌々だったリュウが
自ら自習に来るようになったり、
宿題をしてくるようになったりと、
勉強に対して自主的な行動が増えてきました。


宿題をしてくることなんか、
当たり前のことかもしれませんが、
リュウにとっては大きな進歩でした。


そんな受験モードの中、リュウは泣くことになります。
いや、泣かされることになります。

当時、当塾では21時以降の自習の場合、
中学生は親の承認が必要であるルールになっていました。


と言っても、塾が管理するのではなく、
生徒自身が親に連絡をする。
という緩い感じの決まりがありました。


その日は、22時過ぎても中3の誰1人帰らない状況でした。


僕は全生徒に、「おうちの人に連絡した?」
と確認を取り、自習を見守りました。


静かにみんなが勉強しているのを微笑ましく眺めていると、
電話が鳴りました。


電話口はリュウのお母さん。


「うちの子、まだ帰っていないのですが、もう帰りましたよね?」



僕は一瞬のうちに全てを理解し、
リュウがまだ塾で勉強を頑張っていることと、
本気で勉強をしているのでもう少し遅くなるかもしれないこと、
帰ってもリュウを怒らないでほしいということ
を伝え、電話を切りました。


電話を切ってから、僕は約束を破ったリュウが許せなくなり
勉強中のリュウを呼びだし、
自分だけが得する嘘をついたことに対して怒りました。


リュウの話も聞かずに。
胸ぐらをつかんでしまったり、
壁に追いやってしまったり。
最後には泣かせてしまいました。


その日の夜は1人で反省しました。


僕が本気で怒った生徒は、リュウが最初で最後でした。


本気でリュウに向き合っていたからこそ、本気で怒ったんだ。
と、当時は自分を正当化しようとしていましたが、
正当であるはずもありません。
今やったら問題になってしまいますね。





リュウはその後、無事に受験を終え、塾を卒業していきました。


が、彼が志望していた高校には入れることができませんでした。

3年後、また同じような生徒が

リュウの卒業から3年後、
学校の先生になるために教育学部を志望している
高校3年生のユウ(仮名)が入塾してきました。


リュウとユウが似ていたこと。


それは、自分だけが得する嘘をついたことです。






僕は全受験生に対して、
月に1回「休息日」を設けていました。


この日は、勉強雄を忘れて自分の好きなことをしてもらいます。


遊ぶでもよし、ずっと寝るもよし、
勉強したければしてもよし。


基本的に、生徒が休息日にすることに関しては
僕は一切口出しせず、好きなことを自由にしてもらっていました。


ユウも、
6月に友達の誕生パーティ―に行き
7月はプールに行き
8月は江の島に行き
9月はめっちゃ寝る
のように、休息日を楽しんでいました。


休息日に何をするかの報告は義務じゃないのですが、
ユウは毎回事前に報告してくれていました笑

大学受験2か月前、ユウは泣いた

10月のユウのスケジュールを、一緒に決めていた時
ユウが休息日にやりたいことについて話してきました。


「10月さぁ、渋谷ハロウィン行こうと思うんだ~」


普段だったら、休息日の使い方に何も言わない僕ですが、
初めてNGを出しました。


「ハロウィンの渋谷はやめときな。現実に戻って来れなくなるぞ。」



ちょっと残念そうな顔を見せたユウでしたが


「・・・わかった。」


と、素直に理解してくれました。

僕はユウの返事を100%信じ切ってしまいました。


11月に入った頃、塾のスタッフと話をしていると
「ユウ、ハロウィン行ってたみたいですね。」
と、あるスタッフが言ってきました。


さらに、ユウと学校が同じ別の生徒からも
「ユウと○○が渋谷行った時の写真見せてくれて~~」
という話が。


信じたくなかったですが、ユウを呼びだしました。


「信じたくないんだけどさ、何か言わなきゃいけないことある?」


「・・・たぶんある。ごめんなさい。」


「そうなんだ。悲しいよ。ユウを100%信じて今までやってきたし、ユウも100%信じてくれてると思ってたのに。」



そういった後、ユウは静かに泣き出し、
何度か「ごめんなさい」と言いました。


少し落ち着いてからユウが話してくれたのは
渋谷に行くときに僕の顔が浮かんだこと、
その時の感情を自分でも抑えられなかったこと、
行ってしまった日から罪悪感がずっと残っていたこと、
受験前にバレてなんかホッとしたこと。
など、色々な感情を話してくれました。


きっと3年前の僕だったら、
こんなことを聴こうともせずに怒りをぶつけていたんだろうなと思います。


この3年間のうちにコーチングを学び、聴くことの大切さを知り、
聴くことが相手の成長を促すことを体感できたから
このような行動をとれたんだと改めて感じます。

もう休息日はいらない

11月のスケジュールにも休息日を入れ込んでいたのですが、
ユウは休息日にも関わらず自習をしに来ました。


そして自ら、
「来月からは休息日いらないや。」


と言ってきました。


そこからのユウの成長は早かったです。


きっとユウの18年間のうち、
加速度が最大だった2か月だったと思います。


そしてユウは無事、志望していた教育学部に進むことができ、
今は学校の先生になるための努力しているんだと思います。

最後に

リュウの一件よりも前に、コーチングを学んでいたら。
きっとリュウに対してもしっかりサポートできたのかな。
と思うことがあります。


それを思ったことでどうにもならないですが、
僕にとって過去の経験として忘れてはいけない出来事です。


コーチングをしっかり学ぶと、
聴き方も伝え方も変わります。
僕が学んだコーチングはこちらです。


それが変わるだけで、リュウとユウのように、
生徒の進路に大きな影響を与えます。


怒ることや叱ることを否定するわけではないです。


怒ることや叱ることを、あえて1つの手法と言わせていただくならば
怒ることや叱るという手法よりも、
生徒のためになる手法があるのなら、
よりよい手法を選択するべきですよね。

過去の記事はこちらからご覧ください。



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