「どうして?」「なんで?」の質問は、上級者しか使いこなせないって本当?

学習塾のための教育コーチング、
Edcoac(エドコアック)代表のおきつです。


コーチングでは、
「WHY」を使った質問が効果的であるとよく言われます。


たしかに、WHYを使った質問は、
心理を突く質問として頻繁に使われます。


しかし、WHYの質問をすることで
本当の答えが奥に隠れてしまうこともあります。



WHYを使った質問には、答えのパターンが2種類ある

「どうして?」という質問は、
2パターンの答えを引きだすことができます。


1つ目は、理由です。
例えば、
「今朝はどうして遅れたの?」
→「寝坊したからです。」

という会話。


この質問の「どうして」は、
理由を尋ねるために使われました。


では、別の使い方を見てみましょう。


「どうして教育学部に行きたいの?」
→「小学校の先生になりたいからです。」

という会話。


ここでの「どうして」は、
目的を尋ねるために使われました。


2つの違い、分かりますでしょうか。


どちらも、「~からです。」
という答え方になっていますが、
理由を答えているか、目的を答えているかが異なります。


理由を、「原因」と置き換えるともっと分かりやすいでしょうか。


寝坊したのは、遅れた原因です。


小学校の先生になりたいのは、教育学部に行きたい原因ではありません。
教育学部に行く目的です。


このように、同じ疑問詞(WHY)を使っても
異なる答えを引き出すことがあります。


残念なことに、多くの人が
「理由」と「目的」を区別せずに会話をしてしまっています。


この違いを理解することで、
より効果的な質問をすることができます。

WHYの質問は、相手を責めてしまう

先ほどの、1つ目の質問を思い出してください。


理由を聞かれた、
「今朝はどうして遅れたの?」
という質問。


この質問は原因を追求する質問
捉えることができます。


このような、原因追求の質問は、
時に“詰問”に聞こえてしまいます。


相手が子どもだった場合は特にそうです。


「なんでそっち選んだの?」
「なぜ間違えたの?」
「どうして行動しなかったの?」

と聞かれると、なんだか責められている感じがしませんか?


理由を問うために使う、WHYの質問は
詰問に聞こえてしまうので
僕は極力使わないようにしています。


ではどうすればよいのか。


WHY以外の疑問詞を使って
同じ内容の、別の質問に変えます。


「どうして遅れたの?」であれば、
「今朝、何かあったの?」
などのように変換してみます。


そうすると、責められているようには感じませんよね。


他にも、
「なんでそっちを選んだの?」
→「そっちのどういうところがよかったの?」

「なぜ間違えたの?」
→「何が分からなかった?」

「どうして行動しなかったの?」
→「何がネックになっていたの?」


という風に。
普段から、WHYの質問を別の疑問詞にしてみる練習をすると
自然と詰問をしないようになりますよ。

未来志向の質問にはWHYを、過去志向の質問にはWHY以外を

WHYの質問を、別の疑問詞を使って言い換えましょう。
というお話を先ほどしました。


WHYを使った質問が有効な場合ももちろんあります。


どのような時に有効で、
どのような時に避けた方が良いかについて
考えていきましょう。


[1]未来志向の質問

これから行動することに対しての質問は、
WHYの質問が有効です。


例えば、
「どうしてそれをやりたいと思ったのですか?」
「どうしてA高校に行きたいのですか?」
のような質問です。


このような質問は、
相手が本当にそれをしたいと思ているのかを確認し、
目標をより明確に現実的にすることができます。


[2]過去志向の質問
既に行動したことに対しての質問は、
WHYの質問を避けた方が良いです。


例えば、
「どうしてこの記事を読んだのですか?」
「どうして漢字の勉強をしようと思ったのですか?」
のような質問です。


このような質問をされると、
(あれっ?読まない方が良かった?)
(えっ?漢字じゃなくて英単語の勉強した方が良かった?)
と感じさせてしまう可能性があります。


ですので、別の疑問詞を使って質問することをオススメします。

ポジティブ思考の質問にはWHYを、ネガティブ思考の質問にはWHY以外を

もう一つ、例を出して考えていきます。


[3]ポジティブ思考の質問
WHYの質問をどんどん使っていきましょう。


「どうしてやろうと思ったのですか?」
「どうしてそんなに強く成功を望んでいるのですか?」
のような質問です。


[4]ネガティブ思考の質問
WHYの質問を避けましょう


「どうしてやらなかったのですか?」
「どうしてそんなに失敗を恐れているのですか?」
のような質問。


先ほども言ったように、
どこか責められているような感覚に陥りませんか。

まとめ

WHYの質問は、相手の気づきを引き出すため、目標に対して前向きになってもらうためにすごく重要な質問です。


しかし、過去の行動に対して、ネガティブ思考な内容に対しては、WHYを使った質問をすることを避けましょう。


日頃から、WHYの質問を、別の疑問詞を使った質問に変換する練習をしておくと、どのような状況でもスムーズに質問をすることができるようになります。


上記のようなことを理解して、WHYの質問を使いこなせる上級者になりましょう。



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