中高生対象のコーチングと、大人対象のコーチングの違い
教育コーチングEdcoacの沖津です。
一般的にコーチングは、上司と部下の間柄で使われることが多いコミュニケーションです。
そんなこともあってか、一般的なコーチングと、教育現場におけるコーチングでは、
異なることがたくさんあります。
今回は、中高生対象のコーチングと、大人対象のコーチングの違いを紹介していきます。
Table of Contents
一般的なコーチングが、中高生には向かない理由
コーチングは、相手の言動を承認したり、問いを投げかけたりすることで、
相手の頭の中にある潜在意識を引き出します。
潜在意識は、過去の成功体験や失敗体験から形成されることが多く、
体験が少ない人よりも体験が多い人の方が、潜在意識がふんだんにあります。
また、成功体験や失敗体験をコーチングではまとめて、「リソース」と言います。
リソースは、その人の体験以外に、その人の人脈、趣味や嗜好、思考、長所や短所など、
その人が持っている見えるもの・見えないもの全てを含みます。
このリソースが多い相手であれば、コーチングによってたくさん引き出すことがしやすくなります。
では質問です。
近所の公立校に通う小学1年生の男の子と、あなた、
どちらの方がリソースを沢山持っていると思いますか?
常識的に考えれば、きっとあなたの方がリソースを持っていますよね。
仮に僕があなたにコーチングをした時と、小学1年生にコーチングをした時では、
リソースの量が違うため、コーチングの効果も大きく変わってきます。
年齢とリソースの量は一般的に、ある年齢までは比例的な関係があると言われています。
そのある年齢とは、18歳です。
18歳以上であれば、ある程度一般的なコーチングで効果を引き出すことが出来ますが、
それ以下の年齢の方に対しては、一般的なコーチングでは効果が出ないことが大半です。
つまり、中高生はリソースが少ないため、一般的なコーチングでは効果を発揮することが難しいということです。
中高生に対するコーチングで必要な、2つのこと
中高生対象のコーチングでは、一般的なコーチングではあまり行わないアプローチをする必要があります。
大きく分けて2つありますので、1つずつ紹介していきます。
成功体験と失敗体験を意図的に作る
中高生はリソースが少ないから、コーチングでの効果が発揮しにくいとお伝えしました。
そうであれば、リソースを作るサポートをすることをしてしまいましょう。
先述したようにリソースにはたくさんありますが、ここでは「成功体験」と「失敗体験」についてお話していきます。
あなたは、ご自身の一番の成功体験は何だと思われますか?
ちなみに僕の一番の成功体験は、中学の卒業式でピアノの伴奏をしたことです。
幼稚園からピアノを習っており、僕がピアノを弾けることは同級生のみんなは知っていました。
小学5年生の時にピアノは辞めたのですが、小学6年生の時、担任の先生から
「卒業式の伴奏やってくれないかな?」
と、伴奏の打診をされました。
当時の僕は、友達の前でピアノを弾くなんて嫌だよ。
と思っている節があり、断ってしまいました。
中学生になり、僕はピアノから少し離れました。
ですが、音楽室でピアノを触ったり、音楽が好きな友達と好きなアーティストの曲を演奏したりと、ピアノから全く離れることはありませんでした。
そして中学3年生の時、今度は音楽の先生から、
「卒業式の伴奏やってみない?」
と言われました。
この時の僕は即答で、やることを決意しました。
卒業式までピアノの練習をし、間違うことなく卒業式の伴奏を終えることが出来ました。
今となってはこれが、僕の成功体験だと思っているのですが、
当時の僕は、これが成功体験の1つだとは理解することが出来ていませんでした。
これが成功体験だと理解したのは、僕がコーチングを学び始めた、25歳の時でした。
伴奏をしてから10年も経ってからなんですね。
もしもあの時、
「おきつくん、あなたが卒業式で伴奏してくれて先生嬉しかったよ。
これは、おきつくんの成功体験になっていると私は思う。
小学校の時は断ったのに、中学校の時は引き受けて、しっかり役目を果たせたね。
大きな成功体験だ。」
と言ってくれる大人が近くにいたとしたら。
もしもいたとしたら、僕はもっと早く大きな成功体験を得ることが出来たと思います。
僕は、そんな大人になりたいなと思っています。
だいぶ話がそれてしまいました。すみません。
つまり、中高生たちがやったこと、出来たことに対して、
「それは大きな成功体験だね」
「この経験が、きっと別のことでも役立つはずだよ」
と伝えることで、
これが成功体験なんだ、と気づかせてあげることが大切です。
さらに、
どうしてできたのか、どうしてやろうと思ったのかなどを深堀していくと、
より成功体験としての重要性が上がっていきます。
このようにして、中高生のリソースを作っていきます。
成功体験だけではなく、失敗体験に対しても同じです。
やろうとしたけど出来なかったこと、もしくはやろうともしなかったことに対して、
「今回はどうしてできなかったのかな?」
「何があればもっと出来たと思う?」
「今回やれなかったのは、何がネックになっていたの?」
と、聞いてみてください。
こう聞くことで、何があるから失敗してしまうのかが見えてきます。
選択肢を与える
コーチングは一般的に、答えを教えることはしてはいけません。
あくまでも、答えを引き出すことがコーチングだからです。
ですが何度も言うように、中高生はリソースが少ないため、
答えを持ち合わせていないことが多々あります。
引き出せる答えが、相手の中に存在していないんですね。
そういう時は、いくらコーチングで引き出そうとしても、なかなか相手からの発言は出てきません。
例えばある程度の勉強をしたことのある方であれば、
「どうすれば模試の数学の点数をあと10点あげられるだろう」
という問いに対して、
・前回のテストの解き直しをする
・一度解いたら、もう一度何も見ずに解いてみる
・単純な計算で間違えた問題と、根本が分かっていない問題とで分類する
など、様々な方法が出てくると思います。
ですが中高生は、こうはいきません。
僕たちよりも勉強のリソースも少ないからです。
これを改善するためには、選択肢を与えることが大切です。
ここでポイントなのは、答えを与えるのではなく、選択肢を与えることです。
「今あなたの数学は、何で失点していて何で得点しているか分からない状態だから、
まずは間違えた問題を、単純な間違えによる失点なのか、根本が分かってないことによる失点なのかに分類してみることをしてもいいかもね。他にも、もう1回解いてみて、出来なかった問題だけ解きなおしてみるとか。特に苦手なところがあるなら、そこだけ答え見て解きなおしてもいいと思うよ。」
のように、数学の模試の解き直し方の例をいくつか提示します。
これらを伝え、最終的な決断を下すのは中高生であることが理想です。
選択肢ではなく、答えを与えてしまうと、
コーチングとは真逆の、指示指令になってしまいます。
中高生にはリソースが少ないから、そのリソースを埋めるために選択肢を与えてあげてください。
中高生対象のコーチングでも、大人対象のコーチングでも大切なスキル
それは、「傾聴」と「承認」のスキルです。
「傾聴」と「承認」のスキルは、コーチング本であればおそらくすべてに書かれています。
例えば、リフレインというスキル。
これは、コーチングで最も効果を得られるスキルだと僕は思っています。
塾の先生だけではなく、お母さんにもお伝えしているスキルです。
他にも、相づちを多用することや、ミラーリングをすることなど、
傾聴と承認のスキルには簡単で効果の出やすいスキルがたくさんあります。
コーチングの本を読んだことのある塾の先生は多いかもしれません。
しかし、書店にある多くのコーチング本は、大人対象のコーチングです。
子ども対象のがあったとしたら、子育てコーチング的な内容がほとんどです。
塾の生徒に対するコーチングを学ぶコンテンツがほとんどないのが現状です。
Edcoacでは、完全に塾の生徒に対するコーチングを紹介しています。
対面やオンラインでの講師研修、塾長さんに対してのコーチング個別指導、コーチング研修動画、
様々なご要望にお応えできるように、いくつもコンテンツを準備しております。
少しでも気になりましたら、いつでもお問い合わせください。
ご相談だけでも承ります。
【お問い合わせはこちらから】